2013年11月 相嘗祭に葵文を

上賀茂神社の「相嘗祭」に参列しました。直会で頂いた神酒がいつもと違うと思ったら、できたての新酒。なるほど、白くにごっていたわけです。葵帯1
その年の新穀と新酒を伊勢の天照大神に奉られるのが「神嘗祭」。天皇がとくに信仰された全国71座の神々に奉られる祭儀が「相嘗祭」。天皇ご自身が召し上がるのが「新嘗祭」。戦後、新嘗祭は「勤労感謝の日」と呼び名を変えられ、日本人のお米への感謝意識が消えていきました。が、天皇はいまでも、この新嘗祭が終わるまで新米を口にされないそうです。
この日は太陽の陽射しがまぶしくて、つい傘を持たずに出かけたところ、突然に冷たい雨が降り出し、着物と帯を守るのに苦労しました。京都ではこれを「北山時雨」と呼び、「こういう年には雪がよく降るんですよ」と禰宜のお一人がつぶやいておられました。たしかに、霙を思わせる雨でした。近くは晴れているのに。
葵文の染帯、この日がデビュー。というより、この日に間に合わせて京都で仕立ててもらいました。東京・青山の「くるり」さんでみつけたのですが、仕立てに時間がかかることがわかり、京都で無理をきいてもらったわけです。上賀茂神社の神紋は、陰陽の意味を持つ二葉葵。黒と茶の文様は数多あれど、こんな優しい色使いはめずらしく、葵祭にも締められそうです。なにせ葵祭では、着物も帯も葵文オンパレード。葵なしでは、少し恥ずかしいくらいです。