風そよぐ奈良の小川の夕暮れは 禊ぞ夏のしるしなりけり
百人一首に出てくるこの歌は、上賀茂神社で6月末日20時に斎行される神事を詠んだもの。現在まで続いています。
参拝者が息を吹きかけた人形を、神職が境内の中にある奈良の小川に1枚1枚流します。これが「水」での禊。さらに川の中に設えられた薪の炎を浴びることで「火」の禊を受けるのです。神さまは「火水さま」と表記されることがあるのは、そのためです。
京丹後の「和久傳の森」となりに、「森の中の家 安野光雅館」が誕生。そのオープイニグにお招きいただきました。
設計の安藤忠雄さん、細川護熙さん、坂東玉三郎さん、田中伝左衛門さん、作家の宮本輝さんもお祝いに駆けつけ、内覧の後、記念植樹されました。私も玉三郎さん、傳左衛門さんのお隣に苗を植えさせていただくという幸運にあずかり、やがて森になる日が楽しみです。
この日の装いはさんざん迷ったあげく、「雨上がり」と銘打たれた掬い織のの帯。安野さんがドクダミを描いていらしたのを思い出し、引っ張り出してきた次第。そうしたら、併設されたレストラン「モーリ」にドクダミが生けられていて、うれしくなりました。
吉田塾へ。
ちょっと遅刻。吉田孝次郎さんの講座が、もう始まっている――。
頃合いを見て、末席に座らせてもらう。
この日のテーマは帷子。上布を着ていくのが筋かもしれないが、しかし、銀座かわの屋で手に入れた貝づくしの帯が締めたくて、沖縄の花倉織を纏ってでかけた。
由緒ある京町屋の夏の室礼に、わくわくする私――。
写真は、吉田塾仲間の中野さんと、塾を運営しているNPO美しい京都の富家さんが撮影してくださいました。
大原にある瑠璃光院も紅葉で有名です。初夏は青紅葉が美しいのは永観堂も同じですが、床のみならず、文机の反射が美しいのです。この日の装いは、母の立涌のお召しに龍文の帯。
賀茂神社、下鴨神社を通して八咫烏について知るようになると、訪ねたくなるのが、奈良にある高鴨神社です。
八咫烏の帯を締めて、参拝しましたが、あいにく工事中で、本殿に直接参拝できず。
先日呼ばれたお茶会で、飾られていた花は額紫陽花と信じ込んでお尋ねしたら、実は甘茶の花とのお答えでした。
4月8日、お釈迦様生誕の日にかける甘茶。その花を見られるのが、建仁寺塔頭の霊源院。特別公開された甘露庭では見事に咲き誇っていました。
額紫陽花と思っていたこの着物に描かれているのは、実は甘茶の花だったりしたら面白いなあと思いつつ、でも、帯留は母の形見であるオパールの紫陽花にしております。指輪と合わせられるのが楽しい組み合わせ。
帯は長刀鉾の綴れ。祇園街は建仁寺の敷地にあるのですから。
祇園祭まで2週間ほど。
豪華絢爛な山鉾は、けたたましく蝉の声が降りしきる中、ゆらりゆらーり、この広い広い御池通を巡行していくのです。
そんな姿を想像しながら、長刀鉾の帯を締めてみました。綴れなので6月しか結べません。着物は額紫陽花文。帯揚げを花と同じブルーにして。
京都の紅葉といえば、永観堂。実は初夏の青もみじも美しいの、ご存知でしたか。