元文化庁長官・近藤誠一さんの受勲のお祝いに、京都のホテルオークラへ。
椿と梅が描かれている着物は東京世田谷の「いその」さんで(左からみると、梅がよくわかります)。帯は「誉田屋」さんの金銀市松。帯締めは、「一加」さんのセールで(今月いっぱい)。ラリマーのブレスとほぼ同色。
胸元にある緑の線は、枝が描かれているのではなく、メガネです。髪をセットすると、頭に挿せないので、ここに。正式なお席の場合、着物は自分で着ますが、髪セットは美容院で。最近は、蛸薬師通の「グランドライン」にお願いしています。
カテゴリー: 秋尾沙戸子のきもの適齢期
「きものを着たい」と思った時が適齢期。形見が舞い込んだ時、海外暮らしを終えた時、日本人の心を確かめたくなった時――。ワシントンDCでの中年留学を機に始めて18年。祖母・母・娘と三代続く着道楽の血が騒ぎ、粋に着こなしたいと奮闘中。失敗例も含め、適齢期を迎えた方々のヒントになれば幸いです。
京都での10年を歳時記にまとめた『『京都で、きもの修行:55歳から女ひとり住んでみて』が世界文化社より出版。日々の着こなしの写真は、インスタグラムに掲載。
2017年正月 ヤタガラスの帯
2017年正月 京町屋で寒餅を
小正月の15日、雪がふりしきる中、吉田家へ。雪国仕様アザラシの草履で歩いたのですが、雪道だと、なんと遠く感じるものでしょうか。「我が衣手に雪は降りつつ」、傘をさしていても、コートの袖に雪が積もったほどです。
生まれて初めて、お餅をつきました。つきたては、えもいわれぬ美味さ。おかげで、炭水化物過多の一日。
最初は納豆で、次は白みそのお雑煮仕立てで。意外にも、京都人も、昔から納豆を食されたのだとか。しかし、お餅の中に納豆を入れるのではなく、お餅を納豆にからませて頂くのです。ふーん、またひとつ学ばせていただきました。最後の写真で手にしているのは、ナスの砂糖漬け。久しぶりに白いお砂糖を口にしました。ますます糖質摂りすぎが気になります。ただでさえ、この日は顔がむくんでいるのに。
帯と着物は母の若いころのもの。襦袢も家にあったので寒い日に着用します。舞妓さんの襦袢を彷彿とさせますね。どれもこれも、いまはもう出回らない、いかにも昭和風のものばかりですが、赤黒でまとめて現代風に(以前、倍賞千恵子さんと川島なお美さんには、めずらしいとお褒めにあずかりました)。
お餅をつくのに袖が邪魔と思い、クロチクさんのフリースを持参。このシリーズ、桜や梅など4枚あるのですが、雪が舞っているような、霰に椿の、こちらを選んだのでした。私が写っている写真は吉田塾仲間の八木沢さんと富家さんから提供して頂いたものです。
2017年正月 十日ゑびす
「えべっさん」といえば京都ゑびす神社。西宮・大阪今宮神社と並んで日本三大ゑびすのひとつ。約800年前、祇園の建仁寺建立にあたり、その鎮守として最初に建てられました。8日から賑わいますが、私が訪れたのはもちろんど真ん中の10日。十日ゑびす大祭です。
最初に頂いた福笹は葉っぱが少なくてしょぼかったので交渉したところ、大きく立派なのが授けられました。鯛や宝船や小槌や蔵など、縁起物のオーナメントをつけてもらうのですが、頂いた笹が立派すぎたので、アイテムがどんどん増えてしまい、重いのなんのって。笑っていますが、実はバランスとるのに苦労しているんです。
参拝には、できれば笹の着物が理想だけれど、葉っぱつながりということで、この着物を選びました。すそ回しの青と、襦袢の紫がお気に入り。最初の写真で確認してみてくださいね。もち花が描かれた帯には、福笹と同じ赤い鯛がいます。
帰りは、「ない藤」さんの店出しへ。普段はとても手が出ない高級な草履を爆買いしてしまった私です。はきやすいことはもちろん、色使いがとっても大胆で素敵なんです。草履は午前中におろさないといけないのだとか。後から、写真の追加をしますね。
そういえば東京では、べったら市に通っていました。日本橋の宝田恵比寿神社。江戸時代、10月20日に恵比寿講が開かれ、その前に野菜などが売られたことの名残らしい。量り売りで買ったべったら漬けを麻縄に下げて帰るのですが、地下鉄の中では匂いに気を使ったものです。
2017年正月 貴船神社で七草粥
1月7日は人日の節句。貴船神社の神事に参列しました。人日と呼ぶのは、古代中国において、1月7日は人の吉凶を占う日であったことから。邪気を祓うために七種の野菜が入った熱いお吸い物を食して無病息災を願った、といわれています。
例年は、上賀茂神社の神事に参列して、裏千家の初釜式に伺うのだけれど、今年は喪中でお休みだったため、1時間遅く始まる貴船神社に行ってみたのでした。
直会でおさがりの七草がゆを頂き、奥の院でお参りした後、上賀茂神社へ。白馬奉覧神事の続きで、神馬が境内を歩きます。ご尊顔を拝し、邪気を払いました。婦人会提供の七草がゆは大人気で売り切れ。皆さまのご厚意により、七草の一部を頂き、自宅で七草がゆ。若菜により充電。
叔母から譲り受けたお召しに、羽根&駒の帯。赤は鳥居を意識して、帯はお正月モードです。羽根は酉歳にちなんで。
実は、葵文も考えたのです。貴船神社は、上賀茂神社の摂社であるため、神紋が二葉葵なのですよ。でも、お正月ですから。
2017年正月 陰陽の雪輪
2017月1月 インドネシア人と@八坂神社
外国人が着物で京都を歩く姿は珍しくないのですが、ベールを纏った人々を見ると、気になります。インドネシアかマレーシアか、国籍を訊いてみたくなるのです。
で、声をかけました。インドネシア語で(マレー語もほぼ同じ)。そうしたら、ジャカルタから来た親子だったのです。私と写真を撮った女性は広島に留学中。ご両親と弟を呼び寄せたみたい。メガワティ(第5代大統領)の評伝を書いたと名乗るべきか迷ったあげく、秘密にしておきました。でも、ラインを教えて、と言われ、フットワークの軽さに感動。万国共通、若者のツールですね。
1月3日には、八坂神社で初能があり、観に行った帰りの出来事。陽ざしが急に強くなって、顔うつりにマイナスだわあ。
着物はお正月恒例、羽子板文の着物に松竹梅の帯。
2017年正月 初詣、丹塗りの矢の下で
歳旦祭は、朝5時から斎行されます。葵祭と同じで、上賀茂神社の大祭ですから、本殿前の神事だけでも、1時間はたっぷり。 新撰の数が多い大切な神事です。次第に空が白々する中、提灯に先導されながら摂社末社を順番に参拝してまわるのですが、それがなんとも幻想的で素敵な時空なのです。
その後、室内で直会(なおらい)を頂くのですが、外に出ると、さすがに太陽が昇っていて眩しく、いきなり現世に呼び戻された感じ。はっと気づくと、徹夜で顔が悲惨。写真を写すにはしんどいけれど、どうか醜さは多めに頂きたく・・・。
昨年までは、早朝の冷え込み対策で葵文の辻が花を纏っていましたが、今年は、6本の矢と梅を描いた訪問着を選択。伝承によれば、丹塗りの矢は、賀茂別雷神誕生の重要な要素。しかも、この矢立の文様がハートモチーフで、上賀茂神社の神紋の葵に見えなくもない。などと理屈をつけながら、お正月のみ飾られる巨大な丹塗りの矢の下で撮影を試みました。
帯はといえば、白の梅鉢文でもよかったのですが、お正月なので、松竹梅を合わせました。実は二部式に直してあるので、徹夜で朦朧とした頭には、締めるのが簡単だというのも理由のひとつ。草履はアザラシの鼻緒なので温かい。
お神酒。以前は干支の枡とボトルのセットを持ち帰ったのですが、最近は境内で樽酒を頂きます。徹夜の身にはまわりが早く、帰宅して爆睡。
2017年正月 迎 春
新春のお慶びを申し上げます
世界各国、とりわけ欧州ではパラダイムシフトが数年前から進んでいました。かねて明治維新並みの変化が起きると予言してきた私ですが、その流れは、昨年の英国EU離脱、米国トランプ政権誕生で誰の目にも明らかになったのではないでしょうか。
酉歳の今年は天変地異も含め、世界情勢の激変を覚悟しましょう。戦後70年間に築いた何かが音を立てて崩れるという事態もあり得ます。現在の延長・継続と考えないほうがいいかもしれません。
大難を小難にできるよう祈りつつ、どんな変化にも動じない自分でいたい初春。和服を纏って、心穏やかに、今年も日本の文化への理解を深めていけるよう精進してまいります。
今年の元旦は例年と同じく、朝5時からの歳旦祭に参列するため、徹夜。3年前に仮眠をとって寝過ごしたことを深く反省したからです。今年は葵文の辻が花染めは止め、矢と梅文の訪問着を選びました。よって巨大な丹塗りの矢の下で、撮影。上賀茂神社の伝承では、丹塗りの矢は賀茂別雷神の誕生において大切な要素です。着物が大きく写っている写真は、この後で。