先日の、蜘蛛の巣の八掛にあわせて仕立てたのは、マリベルに着ていった紬です。正座すると、こんな風に蜘蛛の巣が。
この青田色の紬、産地は解明できていません。洗い張りを済ませて丸めてあったのを、母の箪笥でみつけたか、祖母の箪笥でみつけたか、その記憶も定かでは ないのです。でも、着やすいのは確かです。
カテゴリー: 秋尾沙戸子のきもの適齢期
「きものを着たい」と思った時が適齢期。形見が舞い込んだ時、海外暮らしを終えた時、日本人の心を確かめたくなった時――。ワシントンDCでの中年留学を機に始めて18年。祖母・母・娘と三代続く着道楽の血が騒ぎ、粋に着こなしたいと奮闘中。失敗例も含め、適齢期を迎えた方々のヒントになれば幸いです。
京都での10年を歳時記にまとめた『『京都で、きもの修行:55歳から女ひとり住んでみて』が世界文化社より出版。日々の着こなしの写真は、インスタグラムに掲載。
2014年2月 「マリベル」本店へは、箱と同じく青に茶、洛風林の帯で
2014年2月 叶匠寿庵にて
1通のメールが舞い込み、叶匠寿庵さんに伺いました。「喫茶店感覚のお茶会です。日ごろは入れない茶室ですので、ぜひ」。
叶匠寿庵さんを訪れたことはなかったので、午前の仕事を終えて、気軽に出かけた私です。哲学の道近く ということでタクシーを呼んだのですが、迂闊にも京都マラソン開催日であることを忘れていて(ドライバーも)、大回りする羽目に・・・。
「喫茶店感覚」の一言に気をよくして、幾何学文のお召ででかけたのですが、やわらか物に梅の帯を纏えばよかったなあ、と少し後悔。なぜって、陽射しが春めいていて、春の訪れを実感したから。しかも、中村外二さんの手なるお茶室は魅力的で、そこに寄せてもらうには、茶道的なる着物がふさわしかったのです。
写真撮影は、お薄と立礼のお席が終わってから、待合の存在に気づいて。なので、古帛紗も懐紙もしまっております。お茶席のお菓子が叶匠寿庵製であることはもちろん、桜餅を家に持ち帰りダブルで春を味わわせていただきました。
2014年2月 裾回しは蜘蛛の巣で
蜘蛛の巣の八掛をずっと夢見ていました。手芸ショップのユザワヤで蜘蛛の巣モチーフをアイロンで貼り付けるものを見つけた時には、それを裾回しに貼ってはどうかなどと、浅はかなことを考えたものです。ラインストーンモードのそれを貼れば、正座した折にどれほど痛いことか。
ところが、出会ったのです、昨年。試作品として持っているという情報を聞いて、すぐに手を挙げました。そして、洗い張り済み状態で箪笥にあった藍の紬を、仕立てたというわけです。もちろん、蜘蛛の巣襦袢を着るという前提で。
新品は立春から。と着てみて出かけたのはいいのですが、家で食事をしたときに、シミを作ったのです、腿のあたりに。愚かでしょ。おバカでしょ。
すぐにシミ抜きに出してしまいました。よって、着物を着た状態での写真を撮りそびれたので、そのシミ抜きが終わってからの掲載になります。