先日ご紹介した幾何学文のお召用のアンティーク帯。だらりの帯仕立てだったことから作り帯にしたのですが、紬にも合うので、1月はよく締めておりました。
かつてはよくあったリバーシブルの帯。裏には椿と橘文様。オレンジともかんぞう色ともとれる色なので、裏は無視。そもそも竹の赤に惹かれてのだから。でも、気持ちは椿。だからこの季節に締めるのです。
カテゴリー: 秋尾沙戸子のきもの適齢期
「きものを着たい」と思った時が適齢期。形見が舞い込んだ時、海外暮らしを終えた時、日本人の心を確かめたくなった時――。ワシントンDCでの中年留学を機に始めて18年。祖母・母・娘と三代続く着道楽の血が騒ぎ、粋に着こなしたいと奮闘中。失敗例も含め、適齢期を迎えた方々のヒントになれば幸いです。
京都での10年を歳時記にまとめた『『京都で、きもの修行:55歳から女ひとり住んでみて』が世界文化社より出版。日々の着こなしの写真は、インスタグラムに掲載。
2014年1月 倭文の帯
2014年1月 小正月はクリームの紬縮緬で
2014年1月 人日節句+初釜式は森口華弘さんの訪問着で
今年の裏千家初釜式は、森口華弘さんの訪問着で。袖を通したら、自分のものにしたくなった孔雀文です。森口さんの仕事は、技術にくわえて、絵がすばらしい。身にまとってこそ、生きる構図となっています。
七日は人日節句。古くは年初めの節句としてお祝いされてきました。同時に除災もなされ、そのために七草粥を食すのです。上賀茂神社では、白馬節会(あおうまのせちえ)にも倣い、神前に七草粥をお供えし、それから神馬を神殿前にお連れして、馬には大豆が与えられました。白馬節会とは、年の始めに白馬(青馬)を見ると一年の邪気が祓われるという故事に則った宮中の儀式です。境内では七草粥がふるまわれ、一般の人々も白馬を拝みながら、いただくことができます。
朝一番で美容院で着つけてもらった後、上賀茂神社へ。穢れを落として、裏千家今日庵へと向かったのでした。
人間国宝の方々の作品は、アンティークでないと手に入らないものですが、散在しないために眺めるだけにとどめてきました。なのに、この着物がほしくなったのは、12月に「東京人」の取材で東京国立近代美術館工芸館を訪れたため。たまたま森口華弘展が開かれていて、「森口華弘」モードになったアンテナにびびっと来てしまったわけです。テーマは着物ではありませんが、いま出ている「東京人」をぜひご高覧くださいね。へえーっという内容です。
利休バッグは西陣で。なでしこ色は、着物の孔雀の羽根と同じなのです。
2014年1月 京都の仕事初め
2014年1月 新年会は梅づくしで
2014年1月 神社めぐりは赤の幾何学文で
2014年1月 お正月は黄色地の紬縮緬に倭文織の帯で
2014年1月 初詣はワイン色のコートで@上賀茂神社
新春のお喜びを申し上げます
無事に新年を迎えられたことに、感謝。今年も人類が試されそうな天変地異の予感はありますが、どうぞ皆様ご無事で、健やかな一年をお過ごしくださいますように。
さて、初詣は大好きな上賀茂神社へ。お正月の間は、だれでも本殿まで近づいて参拝ができますので、おすすめです。中門に飾られたこの宝船の下を通ると、1年間無病息災、運気アップとの評判。
お神酒もふるまわれます。写真は、自宅用に購入したお神酒。金粉入り。升の裏側には上賀茂神社の神文二葉葵が刻まれています。
天気予報では、にわか雨とのこと。着物は訪問着や付け下げを避け、羽子板文の小紋を着用、松竹梅の帯を締めています。コートは元旦の今日が初お目見えです。ワインというより実際はチョコレート色なのですが、黒でない和装コートは貴重です。京都の寒さには、カシミア100でないと、耐えられません。ちなみに、草履もアザラシの毛皮。