思いがけず静かな宵山モード

北観音山13日夜祇園祭の宵山は原則14日から。でも、3連休が今日から始まった今年は、前倒しにした山鉾も少なくありません。ルール違反という声もある一方で、屋台も出店も無く静かで、お囃子だけが響く、艶っぽい夜となりました。雨によって清められ、過ごしやすくなったのも幸いでした。

三井家や伊藤家(松坂屋)などの有力な商家が多かった町です。一昨年までは松坂屋の幕が張られていましたが、取り壊され、現在、ホテル建設中です。三井家の跡地は病院になっています。

北観音山は「上り観音山」ともよばれ、1955年までは、後祭りの先頭をいく曳き山でした。山内に楊柳観音を安置し、その象徴として後方に大きな柳枝をだしています。巡行が終わって戻ってきたときに、この柳をもらい、粽にまきつけると、無病息災、縁起がよいようです。

 

 

社参の儀

社参の儀。13日の朝、お稚児さんは白馬にまたがり、四条通を八坂神社に向かいました。稚児係に袖を持ってもらい手を清め、神事を経て神の子になった後は、地に足をつけてはならず、「強力」の肩に乗って移動(写真最後)、もしくは、こっぽりを履いて暮らすのです。女性と接触するのも駄目。お母さんともおばあさまとも。

長刀鉾から八坂神社下祇園手水強力さん

曳初めの儀

いよいよ曳き初め落ちないでねお母様たちとおばあさま

お稚児さんは今日、いよいよ鉾に乗り込みます。動く鉾の上で舞えるかしらん。

そんな私の心配をよそに、お稚児さんは思い切り身を乗り出して「太平の舞」を舞いました。思わず「落ちないでね」と声をかけたくなるほど、ハラハラしてしまう私。稚児係がちゃんと押さえているから大丈夫なんですけどね。疫病を退治する太平の舞を、両脇のカムロたちが大きな団扇で広めるのです。この調子で四条通を富小路まで東進します。下にはお母様たちとおばあさまの姿が・・・。

西陽がまぶしい信号も避けてくれています信号を戻します富小路で引き返します。今度は西に向かって。つまりは西陽をもろに浴びるから、眩しいのです。お稚児さんもお父さまも・・・。この表情、やはり、父子は似ています。ということは、3代同じ顔。

四条通の信号は、鉾を避けられるようになっています。だから、通り過ぎると、係の人たちが元に戻します。これは、本番も同じ。

それにしても、お稚児さん、立派でしたね。これで、本番も大丈夫。名誉ある大役ですが、こんなに幼いのに暑い京都でまっとうするには体力が要りますね。

明日は神の子になります。ここからがまた、大変でございます。

神輿洗

神輿洗の前に、二間半もの巨大な松明の火で、道中を清めます。八坂神社を出て、四条大橋へ。その後で神輿が向かい、朝汲んで清祓が済んだ水で神輿を洗うのです。榊につけた水を振り掛ける形で、です。

たいまつ

神輿洗、そして鉾建て

神用水清祓京都の中心は祇園祭の行事が目白押し。鉾建て

朝、神事用水として鴨川の水を汲み上げ、清祓が行われました。夜、この水で神輿を清めるのです。

そして四条通では、長刀鉾の鉾建てが始まりました。釘を使わず、縄でつなぐ。鉾の振動にこのほうがいいと聞いています。新しい縄の匂い、気持ちよかったです。

2013年7月 宮古上布@鍵善良房

鍵善八坂神社の帰りに、鍵善に寄りました。どうしても、くずきりが食べたくなって。
お店で買い物したことはあっても、奥で頂いたのは初めて。混んでいたので、素敵な庭を背景に撮影できる席ではないのが残念。次回、別の着物で挑戦します。右奥にあるのは、蔵です。
朝の予報では37度。前日が36度9分だったので、つい上布をまといたくなります。特にこの宮古上布は色も地味なので、裏方取材にも適しています。帯も羅など透け感が欲しくなり、気軽に、ピンクを締めた次第。
四条通を歩きながら、つい和装小物を買ってしまいました。東京だと帯締めも限度があるけど、京都は豊富。夏着物の需要があるのと、祇園が近いことも理由のひとつでしょう。

くずきり@鍵善良房

鍵善八坂神社の帰りに、鍵善良房に寄りました。どうしても、くずきりが食べたくなって。

お店で和菓子を買うことはあっても、奥で頂いたのは初めて。くずきりは母の好物でもありました。

すぐに出てこないと思ったら、注文を受けてから作っているようなのです。鍵善の文の入った蓋つきの重箱。上段に黒蜜。下段に透明で大きな氷3つの中にくずきりが・・・。だから、冷たいのが楽しめます。ふんだんに氷を入れた贅沢さに、びっくり。もったいないから早く下げて、何かを冷やすのに使って、と言いたくなってしまいます。

原料はもちろん、吉野葛。水にも秘密がありそうです。ああ、この、つるんとした感触がたまらない。黒蜜も波照間産のものだとか。飲み干したいほど美味だけど、濃密なので断念しました。くずきり・・・こればかりは、お店に行かないと食べられません。

混んでいたので、素敵な庭を背景に撮影できる席ではないのが残念。次回、別の着物で挑戦します。右奥にあるのは、蔵です。

 

いきなり36度9分、貴船神社の水祭

京都は今日、36度9分。熱中症に注意、と言われてしまうと、エアコンをつけよう、原発も仕方ないと思考停止状態に陥るから危険だ。そんな中で電力各社の原発再稼働への前のめり、気持ち悪い。安倍総理のスピード感は歓迎だが、参議院選挙、電力会社の組織票をバックに自民が圧勝するとすれば、有権者としては複雑である。

暑さのせいもあるのだろう。夜中まで起きていたので朝は寝坊して、「あまちゃん」をも見逃した。本当は早く起きて和服着て、貴船神社の水祭りに行くつもりだったのに、えーん、出かけたるの止めようかな。いやあ、洋服でも行くべきだ。風水的には「今年は火と水に注意」の年。水の神様には感謝をささげ、日本列島を守ってもらわねば。

舞楽 水祭り9時台の地下鉄烏丸線は若い人でいっぱいだった。これまでにない人口密度の高さは、前期の試験のせいだろうか。

さて、神社では最初の献茶式こそ見逃したけれど、神事、舞楽、式包丁は拝見できた。本来、貴船は涼しいはずなのに、テントで日よけできても暑かった。いや、テントの中だからこそ蒸した、ともいえる。隣のご婦人が聞いてきた。こんなに暑いのに、生のお魚大丈夫かしら、と。式包丁@貴船神社

彼女が言うのは、神殿のまな板の上の魚のこと。目の前で、烏帽子と狩衣をつけた料理人が、まな板の上の魚に直接手を触れずに料理していたからだ。これを「式包丁」という。神社の説明によれば、魚の切り方で吉祥を表し、食用ではなく、儀式として行われたとのこと。食べないのであれば、食中毒の心配もないのである。

お茶会のチケットを持っている人にはお弁当が配られていた。私もどこかで昼食をとらねば、暑さに負けてしまう。この季節の貴船は川床料理一色。川床なら涼しいのは重々承知しているが、どの店も7千円代のコース料理しかない。なので、冷房のきいた店で、そばを食することにした。

朝シャンする時間を持たなかった私としては、鞍馬に上がって温泉で髪を洗いたいところ。だが、地上に降りて、PCチェックをしなければならない。昨日校正に手直しを入れた対談ぺージのレイアウトが出ているはずなのだ。

夕方は宮古上布に着替えて紫織庵さんに出向いた。もう二度と織れないという麻の襦袢を春に買いおいていたものを、祖母の越後上布にあわせて仕立ててもらうためである。家に食材はあったのに、つい、六角通の沖縄料理の「あーぐる」へ。宮古上布が導いたとしか思えない。オリオンの生ビールとテビチを体が欲したのだ。

この暑さに、水のありがたみが身に染みた1日だった。

 

 

 

着物の縁、京都人のまなざし

いえもん3指輪でもペンダントヘッドでも、ラリマーを身に着けていると、必ず見知らぬ人に話しかけられる。この着物もなぜか、同じ現象が起きる。

三条通を歩いていたら、二人のお姉さまたち(芸妓さんではなく、主婦風)がこちらを見て何か話している。京都だから、きっと私の着方に不都合があるに違いないと怖れおののいていると、「かわいらしいね」と大きい声で話しかけてくれた。おおきに。いやあ、ほっとしたわ。

以前も東京で某料亭の女将さんに「かわいらしい着物やね、そんなん今ないからね」と言われたことがある。若々しい柄の絽の着物が減っている中、60代以上の女性には、その価値がわかるのかもしれない。これは洗い張りした状態で箪笥にあったもの。

他方、京都人は男たちも着物にうるさい。「祇園祭が始まったら、毎日、着物やろ」と言ったのは祇園の旦那衆の一人。なるほどと思って、写真撮影が大変な取材以外は和服を着ているのだが、汗をかくので、襦袢を毎日洗いたくなるのだ。 正確には襟のつけかえが面倒なので、襦袢ごと洗えるのが便利。今年は絹でも洗える襦袢を新調したくらいだ。

午後、街を歩いていて遊説の気配にそちらに行ってみると、市役所前に黒山の人だかり。目的は安倍総理。地元の候補者ではないようだ。暑さのあまり御池通りにある店に入りアイスコーヒーを飲んでいると「絽の着物は暑いやろ」と隣の中年男性が話しかけてきた。スタッフの札を下げていたから、地元の党関係者らしい。

もちろん、さらっとした肌触りの上布のほうが涼しいに決まっている。でも、前の晩に着たから、麻の襦袢は洗濯してしまった。今日は晴れていないのをいいことに、絽の襦袢を纏い、絽の着物を選んだのだが、こういう突っ込みをする京都の男はん、どないなん。せっかくお姉さんたちがほめてくれはったのに。やっぱり京都人は厳しおす。

ところで、この季節はつい生ビールを欲してしまう。まだ明るくても夕刻になれば、伊右衛門カフェでプレミアムモルツのハーフ&ハーフを飲みたい衝動を抑えきれなくなる。最近はPCコーナーがあるので、「おひとりさま」でも気楽に入れるのがうれしい。

ビール片手にPC検索をしていたら、突然、雨が降ってきた。天気予報を見たら、18時以降は40%になっている。途中で変更したのだろうか。いつもは曇りでも小さな折り畳み傘を持ち歩いてくるくせに、置いてきてしまった、今日に限って・・・。あーあ、ユーミンのDESTINYの気分。大粒の雨だし、着物だし、濡れるわけにはいかない身。幸いPC待ち客はいないので、食事を追加注文して、雨が止むのを待つことにした。