祇園祭の取材で大活躍でした。17日の神幸祭も、疫神社での夏越祭でも、この組み合わせで動いていました。17日夜、祇園のお茶屋さんにいる先輩を訪ねたときも。90歳を超えるお茶屋のお母さんからお褒めのコメントを頂いたので、すっかり気をよくした私。井澤屋さんのセールで手に入れた帯締が、着物の色と合ったからでしょう。本当は坪庭で撮った写真があったのですが、SDカードを2つのカメラで共有したら記録されなかったようで、カードをPCに移した段階でデータが消えたのです。人間関係もカメラも二股かけるのは、駄目ということですね。
カテゴリー: 秋尾沙戸子のきもの適齢期
「きものを着たい」と思った時が適齢期。形見が舞い込んだ時、海外暮らしを終えた時、日本人の心を確かめたくなった時――。ワシントンDCでの中年留学を機に始めて18年。祖母・母・娘と三代続く着道楽の血が騒ぎ、粋に着こなしたいと奮闘中。失敗例も含め、適齢期を迎えた方々のヒントになれば幸いです。
京都での10年を歳時記にまとめた『『京都で、きもの修行:55歳から女ひとり住んでみて』が世界文化社より出版。日々の着こなしの写真は、インスタグラムに掲載。
2013年7月 上布に兵児帯風@祇園祭
2013年7月 舞妓さんに囲まれて@祇園祭宵山
2013年7月 宵宵山、山鉾めぐり
昼間、誉田屋さんを訪れた後は山鉾めぐり。この美しい提灯の先、なんとも魅惑的ですね。ぜひとも中まで行ってみたいけれど、「長刀鉾」は女人禁制。町会所の2階とつながっている鉾にあがることが許されていません。そこで胴掛の「玉取獅子」図の前で撮影。これらは中国近辺で織られた絨毯で、数年前にNYメトロポリタン美術館にも出陳されたそうです。「コンコンチキチン・・・」。夕暮れ時だったこともあり、すでに鉾にあがっている囃子方の演奏に癒されて幸せな気分。
お能の「橋弁慶」から取材した「橋弁慶山」では、弁慶と牛若丸、それぞれと記念撮影。結果的に、牛若丸との距離のほうが近くなっていて、自分の潜在意識に驚いております。夜になって顔が疲れているのは、お許しを。
2013年7月 雪華の夏帯@祇園祭宵宵山
この季節に便利な絽の着物に、この帯は少しきついのではないかと躊躇がありました。けれども、この帯留をみつけて、着物とつなげることに成功しました。右の写真をクリックして拡大状態でみてください。
白地に赤のドットです。もともと濃い紫のドットを持っていたのですが、井澤屋さんの祇園祭セールで、赤とターコイスブルーを買いました。
この雪華の帯は誉田屋製です。これまで地に青がないと駄目だと思っていたのですが、目が慣れたのか合うように思えてきました。暑い夏には、この雪華がいいのですよね。誉田屋さんも庭に氷柱を置いて涼を誘っていますが、帯も同じです。
このバックショット、先日のカメラマンさんのアイデアの真似です。でも、祇園祭の間、暖簾がいつもと違うところに下げられていたので、あのときほどの光のインパクトは出せていません。あくまで、帯の紹介ということでご覧ください。
2013年7月 越後上布@祇園祭
祇園祭宵山に紫織庵さんを訪ねました。床の間には、鉾を描いた軸と粽が飾られています。
着物は祖母の越後上布ですが、襦袢は紫織庵さんで買った小千谷の絽麻。「職人がいないから、もう二度と織れない」、「これが最後の1枚」と聞いて購入。今回、初めて袖を通してみて、驚きました。ぜんぜん違います。まとった瞬間から、肌ざわりが。デパートで買った絽麻の襦袢地と。雨だったので、この上に絽の雨コートを着ているのに、すがすがしいんです。
そして、帯。これは既に和久傳で麦文の着物にあわせて締めていますが、これも紫織庵さんで誂えました。観世水文が織られていたのを見て、この色に染めてもらったのです。
帯締は四条の井澤屋さんの祇園祭セールで買いました。白地にターコイスのドットです。
この3日後の、山鉾巡行は、同じ組み合わせて観ています。巡行を終えて新町通りを山鉾が通っていくのを、ある方のお宅の2階で拝見したのですが、途中で、俳優のアラタさんもやってきました。
2013年7月 宮古上布@鍵善良房
八坂神社の帰りに、鍵善に寄りました。どうしても、くずきりが食べたくなって。
お店で買い物したことはあっても、奥で頂いたのは初めて。混んでいたので、素敵な庭を背景に撮影できる席ではないのが残念。次回、別の着物で挑戦します。右奥にあるのは、蔵です。
朝の予報では37度。前日が36度9分だったので、つい上布をまといたくなります。特にこの宮古上布は色も地味なので、裏方取材にも適しています。帯も羅など透け感が欲しくなり、気軽に、ピンクを締めた次第。
四条通を歩きながら、つい和装小物を買ってしまいました。東京だと帯締めも限度があるけど、京都は豊富。夏着物の需要があるのと、祇園が近いことも理由のひとつでしょう。
2013年7月 絽の小紋@伊右衛門カフェ
指輪でもペンダントヘッドでも、ラリマーを身に着けていると、必ず見知らぬ人に話しかけられる。この着物もなぜか、同じ現象が起きる。
三条通を歩いていたら、二人のお姉さまたち(芸妓さんではなく、主婦風)がこちらを見て何か話している。京都だから、きっと私の着方に不都合があるに違いないと怖れおののいていると、「かわいらしいね」と大きい声で話しかけてくれた。おおきに。ほっとしたあ。
以前も東京で某料亭の女将さんに「かわいらしい着物やね、そんなん今ないからね」と言われたことがある。若々しい柄の絽の着物が減っている中、60代以上の女性には、その価値がわかるのかもしれない。これは洗い張りした状態で箪笥にあったもの。
他方、京都人は男たちも着物にうるさい。「祇園祭が始まったら、毎日、着物でしょ」と言ったのは祇園の旦那衆の一人。なるほどと思って、写真撮影が大変な取材以外は和服を着ているのだが、汗をかくので、襦袢を毎日洗いたくなるのだ。
今日も街を歩いていて遊説の気配にそちらに行ってみると、安倍総理がやってくるというので、市役所前に黒山の人だかり。暑さのあまり、御池通りにある店に入りアイスコーヒーを飲んでいると「絽の着物は暑いやろ」と隣の中年男性が話しかけてきた。スタッフの札を下げていたから、地元の党関係者らしい。
もちろん、さらっとした肌触りの上布のほうが涼しいに決まっている。でも、前の晩に着たから麻の襦袢を洗濯してしまったのだから、絽の襦袢を纏い、この着物を選んだのだが、こういう突っ込みをする京都の男はん、どないやろ。せっかくお姉さんたちがほめてくれたのに。やっぱり京都は厳しおす。
ところで、この季節はつい生ビールを欲してしまう。まだ明るくても夕刻になれば、伊右衛門カフェでプレミアムモルツのハーフ&ハーフを飲みたい衝動を抑えきれなくなる。最近はPCコーナーがあるので、「おひとりさま」でも気楽に入れるのがうれしい。