前の晩、連れて行っていただいた室町和久傳。入り口に茅の輪があるのを発見して感激した私は、翌日、一人で再び訪れました。大好きな「笹ほたる」を食べたくて。
以前は室町にあった室町和久傳。いまは御池通りから堺町通りを下ったところにあります。イノダコーヒー本店を上ルと言ったほうがわかりやすいでしょうか。2階のサロンでは茶菓が楽しめます。
夏越の祓まであと1日。着物は麦文の絽、帯は観世水文を青に染めたもの。
カテゴリー: 秋尾沙戸子のきもの適齢期
「きものを着たい」と思った時が適齢期。形見が舞い込んだ時、海外暮らしを終えた時、日本人の心を確かめたくなった時――。ワシントンDCでの中年留学を機に始めて18年。祖母・母・娘と三代続く着道楽の血が騒ぎ、粋に着こなしたいと奮闘中。失敗例も含め、適齢期を迎えた方々のヒントになれば幸いです。
京都での10年を歳時記にまとめた『『京都で、きもの修行:55歳から女ひとり住んでみて』が世界文化社より出版。日々の着こなしの写真は、インスタグラムに掲載。
2013年6月 ハイビスカス文@披露宴
漫画家さかもと未明さんの披露宴@椿山荘に出席。こちらもエンジン01のご縁。
ご本人からは「きれいな格好で来てね」とのご要望があり、ならば和服しかなかろうと、この付け下げを用意した次第。なにせ袷だったのだから、直すのに一苦労。
「まあ、素敵」とほめてくださったのは、またしても桜井よしこさん。「20代の嫁入りの際、母が持たせてくれたんです。ちょっとブリブリで恥ずかしいのですが」と言い訳する私に、「大丈夫よ。品があって、いいわよ」。ご自身もお着物をお召しになるので、着物の価値がわかるのだと思う。30年前の職人の仕事、いまは再現できないのです。
母がこの着物を世田谷の「いその」さんで誂えたとき、和服でハイビスカス文様がどれほど斬新だったか。ハイビスカス自体いまほど日本では出回っていなかったので、季節を問わず、袷がよかろうと呉服屋さんと決めたのかもしれない。生前、単衣に直したほうがいいのでは、とつぶやいていました。
単衣といえば、先日の祝宴は額あじさい文で季節としてはドンピシャなのだけれど、なにせ小紋なので披露宴には不向きです。「披露宴は神様に降りてきて祝福してもらうのだから、出席者も相応のお召し物でお祝いするのが礼儀だ」と、この帯を制作された誉田屋山口源兵衛さんの助言を受け、あわてて短期間で治してくれる仕立て屋さんを探したのでした。
袷を単衣に直すのは、裏をはずすだけで簡単に思えるけれど、実際、縫い方が全く違うのだという。本来は洗い張りにしての直すので2ヶ月かかるらしいが、ほどいてみたら、そこまでしなくてよい縫い方だったとのこと。どうにか間に合いました。バッグは母の形見です。