九州電力の「やらせメール」がニュースになっている。だが、利益のためなら、最善を尽くす。世論操作くらいはやる。それ自体は企業の癖(へき)とも言うべきもので、平時なら責められずに流れたことかもしれない。実際、電力会社は原発を創るにあたり、そうした手法で地元の人々を煙に巻いてきたのであろう。
問題は、原発事故が起きてもなお、電力会社が状況を理解できていないことだ。彼らは完全に国民を舐めている。本気で原発を再稼動したければ、知恵を絞らねばならない。これまでの手法では通じない。自分たちは崖っぷちに立っている。そうした自覚が全くないのである。関連会社に「やらせメール」通達を出し、この事実を書面で残すなどという、脇の甘さが腹立たしいのだ。
もっと不愉快なのは、経済産業副大臣の態度だ。九州電力の社長を呼びつけて怒鳴りつける。本当に知らなかったのだろうか。実は想定内で、バレタから怒って見せただけなのではないか。再稼動を焦っているのは、経済産業省も同じだ。
「国策民営」の醜い実態を見るにつけ、経済産業省がもっと責めを負うべきだと私は考える。実際、経済産業省でも原発政策に異論を唱えた若い世代がパージされ、官僚を辞めている。この根っこの深さを私たちは見逃してはいけない。