東京で地震を経験しただけでも、夜、眠れない。服を着たまま、スニーカーを傍に置いて、眠ろうとするのだが、不安になる。
ずっとテレビの映像を見ているせいだろうか。わが祖国がこんな恐ろしいことになるなんて、なんで日本なの? と何度も自問し、胸が苦しくなる。
関西テレビで番組を持っていた私は、阪神大震災を取材している。あのときも困惑した。痛かった。スタッフでも被災した人が何人かいて、彼らが異口同音に言ったのは「悔いの無い人生を送りたい」だった。私もまた、明日死んでもいいように、精一杯生きてきたつもりだ。
今回の衝撃は、津波にある。これほどまでに津波が恐ろしいことを、改めて思い知った。インドネシアのアチェよりはるかに近代的な町が飲み込まれていく様を見て、言葉を失った。
あっという間に波に飲まれた人々の無念と、残された家族の悔しさ。そういうものを全部受け止めて、私たちが前向きに生きていくことが、最大の供養であり、遺族への励みとなるのではないか。ポジティブに考えて、すばらしい国づくりに励みたいと思うのだが、今宵は命を落とされた方々のご冥福を心からお祈りいたします。
秋尾沙戸子