ご冥福をお祈りします

東京で地震を経験しただけでも、夜、眠れない。服を着たまま、スニーカーを傍に置いて、眠ろうとするのだが、不安になる。

ずっとテレビの映像を見ているせいだろうか。わが祖国がこんな恐ろしいことになるなんて、なんで日本なの? と何度も自問し、胸が苦しくなる。

関西テレビで番組を持っていた私は、阪神大震災を取材している。あのときも困惑した。痛かった。スタッフでも被災した人が何人かいて、彼らが異口同音に言ったのは「悔いの無い人生を送りたい」だった。私もまた、明日死んでもいいように、精一杯生きてきたつもりだ。

今回の衝撃は、津波にある。これほどまでに津波が恐ろしいことを、改めて思い知った。インドネシアのアチェよりはるかに近代的な町が飲み込まれていく様を見て、言葉を失った。

あっという間に波に飲まれた人々の無念と、残された家族の悔しさ。そういうものを全部受け止めて、私たちが前向きに生きていくことが、最大の供養であり、遺族への励みとなるのではないか。ポジティブに考えて、すばらしい国づくりに励みたいと思うのだが、今宵は命を落とされた方々のご冥福を心からお祈りいたします。

秋尾沙戸子

東京で揺れを感じて

地震が起きたとき、めずらしく家にいた。扉を開け、玄関でしゃがみこんで、揺れが収まるのを待った。

昨日は秩父、その前は新潟に行っていたので、タイミングがずれていたら、電車が止まって、立ち往生したのではないだろうか。秩父市役所は倒壊したと告げられている。

こういうときは、勤め人のほうが大変らしい。姪も義妹も自宅で無事だったが、弟は帰宅困難者として、会社にとどまるという。テレビでは、築地本願寺や学校が滞在場所として開放すると伝えている。母校の都立新宿高校もその対象らしい。数年前、冷暖房完備の新校舎に建て替わったが、こういう形で都民の役に立てれば、都税も無駄ではなかったということになる。

夕方まで、地域によっては、電話が通じなかった。こうしてネットがつながるのが救いだ。ダウンを着たまま、PCに向かっている。毛皮も必要かもしれない。笛も懐中電灯も。コンタクトと眼鏡は傍に置かねばならない。阪神大震災のとき、私は関西テレビで自分の番組を持っていたが、被災したスタッフが教えてくれた。近視の人間には、眼鏡を枕元に置くことがいかに大切か。

夜になって、コンビニに出向いた。水も米もあるが、非常食がない。パンとおにぎりは売り切れ。カップ麺は残っていた。道路は車がすずなりに。若者たちは三々五々、グループになって歩いて帰宅している。このあたりがどの方向にも渋滞することは少ない。花火大会の後を思わせる不思議な賑わいだった。

テレビを見ていると、津波の怖さを思い知らされる。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

アンコール放送を聴いて

放送を聴いていただいた皆さん、ありがとうございました。

本人は少しがっかりしています。自分のしゃべりが思ったより早くて。もっとゆっくり話したと思い込んでいたので。

前回の放送は、京都取材に行く前で、しかも、前夜は小倉一郎さん芸能生活50周年パーティで寝が足りてなったのか、内容に集中して、しゃべりのパフォーマンスの悪さが気にならなかったのかもしれません。

それでも、放送を聴いて、しかも本を購入してくださった方々に心から感謝します。日本の将来を考えるきっかけになればと思います。あわせて、AERAも読んでくださいね。

お騒がせしました

手伝ってくれている大学生がつかまり、HPの修正が完了しました。お騒がせしました。

いまのようにスピードを求められる時代、何事も自分で対処できなければなりません。残念ながら、コンピュータを操作できない人間には限界がありますね。苦手なものでも、コツコツと自分のモノにすること。肝に銘じて、精進します。

「ラジオ深夜便」アンコールは今夜(明日朝4時)です!

昨年12月にNHK「ラジオ深夜便」で放送された明日への提言は、今夜(正確には明日の朝4時)にアンコール放送されます。

私のHPの表紙において、そのリンク先を3月10日の番組表にしていたのですが、HPを手伝ってくれている大学生が勘違いをして、雑誌『ラジオ深夜便』に飛ばすよう設定してしまいました。混乱された方もいらっしゃると思います。申し訳ございません。

正しいリンク先はコチラ→ http://www.nhk.or.jp/shinyabin/pro/b4.html です。

こんなこともあるろうかと、自分でHPの表紙の書き換え方を覚えたいと申し出たのですが、彼が自分の仕事として責任を持つと頑張ったので、つい引いてしまいました。私があまかったのです。当の本人は海外に行っているらしく、つかまりません。よって、この頁でお詫びして訂正いたします。

いま出ているアエラ「現代の肖像」にも和久傳の桑村綾さんが、社員教育に苦労されていることを書きましたが、私も指示が正しく伝わらない現実に直面し、頭を抱えてしまいます。日本社会全体で起きている現象なのでしょうか。

とまれ、もしも目覚めたら、ぜひ放送をお聴きくださいませ。

秋尾沙戸子

2011年03月 週刊ブックレビュー&エンジン01@長岡


NHKBSの週刊ブックレビューには、祖母の結城紬を着て出演しました。
2月に長岡で開かれたエンジン01オープンカレッジでは、いつものように誉田屋さんのゴールドの帯を締めましたが、今回は壁画を思わせる魚の絵が描かれた緑の帯を締めてみました。結城にあわせたのは初めてです。帯揚げはバンコクで買ったパープルですが、すそ回しと似た色です。袖口にもご注目を。
2007年の書展でも、ゴールを締めています(右)。受付や四隅の係は塾生の仕事です。

和久傳 桑村綾さん@AERA「現代の肖像」

今日発売されたAERA「現代の肖像」で、紫野和久傳代表 桑村綾さんを描いている。

和久傳といえば、都心では、れんこんのお菓子「西湖」で知られるが、実は京都の高級料亭である。その女将の座を娘に譲って、綾さんは物販のための別会社を設立。安心・安全・美味の食材を求めるうち、農業に手を染めることとなった。

だが、話はそんなに単純ではない。そもそも和久傳は丹後の老舗旅館なのだから、そこに嫁いでからの綾さんの頑張りは、まさに細腕繁盛記そのものである。

農業に関心のある人はもちろん必読。サラリーマン社長たちにもぜひ、ほんもまもんの経営者としての綾さんの取り組みを学んでいただきたい。実際、日本を牽引していくのは、政治家ではなく、綾さんのような経営者なのだと私は考えている。

リビアをめぐって(2)

リビアがこんなに危険な状況にもかかわらず、在リビア中国人はぎりぎりまで踏ん張った。ここへ来て、3万5千人の邦人を中国空軍の輸送機4機と海軍のフリゲート艦で脱出させた。恐るべし中国の世界戦略。以前から押し寄せる中国人をカダフィが迷惑がっていたとの話もあるのだが、こうなるまで、在リビア中国人の数が国際社会に知られることはなかった。

欧州にも次々中国の銀行が設立され、各国でその存在は脅威となっているのだが、それがナショナリズムをあおることにもなっている。

リビアをめぐって(1)

リビアでの紛争が泥沼化している。アメリカは地中海に駐留していた艦船2隻をリビアに向かわせ、リビア国内に軍事基地を設置することを検討しているという。軍事基地設置については、イギリスもフランスも同じ。カダフィが武力で抵抗すればするほど、欧米の思う壺。軍事占領されるのではないか。

リビアのような部族社会で一人の独裁者が40年も君臨すること自体、奇跡に近い。石油が産出される東部の部族長を大国がバックアップして反乱を起こさせるのは、難しいことではない。そのためのチュニジア発のドミノ倒しでもあった。

穀物が投機の対象になったとき、それが中東革命への導火線であることを読み取れなかった自分が情けない。いや、もっといえば、日本政府にそれだけの分析能力がないとすれば、それこそ問題である。

アエラ「現代の肖像」ついに校了

11月から取材を続けてきたアエラの「現代の肖像」がついに校了。月曜日には書店に並ぶ。

登場するのは、京都の高級料亭「高台寺和久傳」の創業者、桑村綾さんだ。あまりに密度が濃くて、盛り込みたいことは山のようにあれど、限られた誌面、心残りではある。

まずは手にとって頂き、ぜひ読んでいただきたい。自分で読み返しても、感動する。