父の命日

昨日は父の命日。少し遅くなったので、霊園に向かうのに、生田駅を降りてからタクシーに乗った。
「こんな雨の日に、立派ですね」
ドライバーが言う。
七回忌の法要は一週間前に終えていたが、命日には墓参をすると決めている。遺族にとっては当たり前の墓参の風景が、いまの日本では日常の営みから消えているということだろう。
1月に息を引き取った母と違って、3月は花屋の店頭に春の花がたくさん並ぶ。せっかくだから、菊などの仏花ではなく、ヒヤシンスだの水仙だの、香しい花を供えることにしている。外苑西通り沿いの、10本単位だからリーズナブルの花屋で色々みつくろい、残りは遺影の前に生けた。
色使いが、欧州のウインドウを彩るキリスト教の復活祭のよう。
缶ビールを供えて父に語りかけていたら、急に寒くなった。予報によれば、翌日は雪とのこと。風が冷たくて、雑巾を洗う手がかじかんだ。
今日になってみると、雪ではなく、冷たい雨。水仙もヒヤシンスも頑張ってくれるだろうか。線香が消えた後も、そうした花の香に誘われて、父の魂が安らぐといいのだが。

共同通信より配信2010年3月7日付地方紙掲載

特定の誰かを設定して「読んでくれますか?」と本を推薦する共同通信のシリーズ企画

【民主党議員へ】【中国人の思考回路見抜く】【三国志】

「僕たちチャイニーズが日本人をだますのなんて、赤子の手をひねるより簡単だよ。単純だから」。台湾の友人たちによくこう言われる。

彼らは小学校に上がる前すでに『三国志』を諳んじている。単なる音に過ぎなかった言葉は、大人になると意味を持ち、貴重な人生教訓に変わる。食うか食われるか。中華社会での駆け引きに大いに役立っているという。

二-三紀頃の中国は、漢が滅び、魏・呉・蜀への戦国時代。『三国志』はその乱世を生き抜いた英雄たちの処世術が詰まった物語である。

それを熟知しているのは大陸の中国人も同じだ。共産党幹部はもちろん、日本の観光地や繁華街に群がる若者にも、東京のマンションを買いあさる投資家にも、権謀術数がその細胞に浸透している。

東京で宝石を商うアフガン人が言う。「中国人は一筋縄ではいかないが、パタンがわかれば大胆で面白い」

米中首脳会議では、オバマ大統領もヒラリー国務長官も、孟子や孔子を引用して二国間の将来に準えたという。相手の癖(へき)を知らねば戦略は立てられない。あの米国でさえ努力している。

果たしてわが国政権与党の民主党議員らはどうか。小沢幹事長に従い胡錦涛主席と握手したくらいで有頂天になっている場合ではない。その無邪気な姿を見て、彼らが鼻先で笑っていることに気づいているのだろうか。

民主党議員には『三国志』を座右の書にして頂きたい。一度は読んだなどと言うことなかれ。共産党の権力闘争を勝ち抜いた彼らと付き合うには、一言一句、いまから暗記しても追いつかない。

まずは吉川英治氏の小説から始め、伊波律子氏による翻訳本へと進めばいい。中国人の思考回路を見抜く頭脳を鍛えることこそ、日本の安全保障につながると私は考えている。

みかわ是山居、初体験

生きている間に、ここに来られてよかった。そんな夜だった。
歳を重ねると、そうは感動することに出会えないものだが、「すきやばし次郎」のとき同様、「みかわ是山居」を体験すると、人生観が変わる。ここにくれば、誰もが謙虚になるのではないだろうか。
山本益弘さんのおかげで、昨夜は「みかわ是山居」のカウンターに座らせていただいた。早乙女哲哉氏の仕事は実に奥が深い。
いかに水を抜くか。魚を知り尽くし、科学的に計算した上で、粉と水と空気の割合や揚げるタイミングを決めているらしい。車海老を扱う指の美しさ、白魚を一匹ずつ揚げる手首のしなやかさ、とにかくセクシーなのである。
かくも甘い車海老にこれまで出会ったことがない。胴体と頭が全く違う。名古屋生まれで海老好きの私が口にしてきたものは、何だったのだろうか。きす、いか、うに大葉、しらうお、めごち、穴子、アスパラガス、ふきのとう、サツマイモ、はしらのかきあげ。薄い衣、香ばしい衣、どれもこれも、魚のベストを衣の封じ込めてなお、衣そのものの魅力的なことよ。なんとも至福の瞬間・・・。
早乙女哲哉氏が日本に存在してくれたことを、私は日本人として誇りに思う。

ラリマー2

初めて買ったラリマーがこれ。ロサンゼルスでみつけたペンダントヘッドです。

ブルトパとの組み合わせが妙。少しオパールも入っています。

『ワシントンハイツ』の著者近影では、このラリマーをつけています。写真はカバーの袖なので、図書館では確認できないかも。

ラリマー1

                           米国コロラド州のデンバーでみつけたラリマーです。オバマが大統領候補に正式指名された民主党大会の翌日、共和党大会の開かれるミネソタへ移動するまでの間にストーンを探しを試みたのです。党大会の開かれた会議場のみやげ物屋にもターコイスが売られていたくらいですから、コロラドはストーンの宝庫。しかも、その日、不思議な展示会が開かれ、そこで出会ったものです。2008年には日本でもラリマーはめずらしく、ちょっと嬉しかったのを覚えています。こうしたタイル状のものが何枚か手に入れば、ぜひバスルームの壁に貼りたいと考えているのです。

油断大敵、顔がマンパチ

このところ、痩せ始めていい感じだったのに、今朝起きたら、顔がマンパチ状態。真っ青・・・。
思い起こせば、昨日、昼と夜に米をしっかり取った。これが原因らしい。
夕方、食事に誘われた段階では、蕎麦を食するはずだったのに、相手が鰻と言い出し、同意してしまったことが間違い。昼に何を食べたかすぐに思い出して抵抗できない脳の老化を懸念したほうが良さそうだ。
帰国してから、打ち上げだの句会だの宴会だの、外食が続いていた。飲むだけで押さえられず、つい目の前にある食べ物を口にして太り始めてはいたのだが、ここまで丸くはなかった。ビールを飲んだ上に、お米を茶碗2杯以上食せば、当然の報い。
デブにならないためには、外食は週に2度まで。あとは家で細々と食べるに限る。