混乱期に入るマグレブ

行きたい行きたいと思いながら、先送りにしてきた北アフリカの国々。観光と割り切れば、キューバ同様、独裁者が力を持っているときが狙い目である。やはり思い立ったらすぐに行動に移さないといけない。

と、「旅する女性」らしい目線がある一方で、私の中では、この動きの背後に誰がいるかに興味津々のジャーナリスト目線もある。

チュニジアの政変を「ジャスミン革命」と名づけたのは誰か。そう呼んで美化していいものだろうか。

共産主義政権下の反体制知識人として何度も投獄を繰り返した劇作家のハベルが仕切り、彼が大統領になった89年のチェコスロバキアの政変は「ベルベット革命」と呼ぶに値するが、チュニジアのケースはむしろルーマニアに近い。ルーマニアについては、ティミショアラにおける民衆蜂起の後、ブカレストでのあまりに組織だった動きを単なる民衆革命かどうか疑う声は当時からあった。

とまれ、チュニジアから始まった民主化の波は周辺諸国に飛び火することは避けられず、結果、マグレブ諸国はしばらくの間、混乱期に入る。そのほうが、都合のいい国や勢力が存在することは確かなのである。

この地域の国々で民主化を考えるとき、欧米型民主主義体制にはならないと思う。今後、イスラームが新しい体制での民主化にどういう役割を果たすのか。興味深い。