リトルトーキョー駅

 

ロスの取材は本当に不便。車がないと、高くつく。タクシーで移動すれば、市内でもたちまち20ドル30ドルだ。ましてや市外となれば、40ドルを超えることになる。バスの存在は嬉しいが、目的地まで1度の乗り換えでアクセスできるほどラクではない。

それでもメトロができて、ずいぶん助けられるようになった。しかも最近はリトル東京駅が完成し、ハリウッドにはアクセスしやすくなった。ひとつ先のユニオンステーションで降りて乗り換えればいい。

一度、乗り換えそびれてチャイナタウンに着いたことがある。立派な駅で驚いた。ここは中国でございと、しっかり自己主張している。しかも駅のホームから眼下に中華世界が広がるのだから、大したものだ。横浜の中華街でも再開発に巨額を投じたことを思い出す。100年先に孫子が誇られる街を作るのだと、華人の間で寄付を募ったのだ。

それに比して、リトル東京駅のシンプルなこと。和の雰囲気は皆無。妙に近代的なのだ。ヒスパニックが住む駅にでさえメキシカン的アートがほどこされているというのに。

ある日系人が言う。「リトル東京という名前も変えたほうがいいんですよね。チャイナタウンにコリアンタウン、日本だけリトルとついているのは、いかにもまずい」

このところコリアンパワーが炸裂し、ハングル文字の領域が増えている。リトル東京も次々買い占められているのだ。キャッシュを持ってこられては、誰にも抵抗できないという。

いまこそ某政治家の金塊がモノを言うというのに、ロスに運ばれた彼のキャッシュで買われたのは、どこの物件だったのだろう。どうせなら、リトル東京に投資してくれればよかったのに、と思ってしまった。

注)写真はリトル東京駅の踏み切りにある警告。なぜかハングルでも書かれている。