70年前の今夜、東京の表参道が猛火に包まれたこと、ご存知ですか。3月10日の「下町空襲」と区別して「山の手空襲」と呼んでいます。
表参道交差点の安田銀行(現みずほ銀行)の前には、黒こげの遺体が幾重にも重なっていました。他方、山陽堂書店に逃げ込んだ人々は無事だったという、まさに生死を分けたドラマがあります。明治神宮を目指した人が命を落とし、青山墓地に逃げた人々は救われています。
インタビューを重ねた私は、新潮文庫『ワシントンハイツ』第1章に、当時の状況を描きました。ここ数日、読み返しているのですが、我ながら涙してしまいます。
どうか今日だけでも、犠牲になった方々へ思いを馳せて下さい。できれば周囲の方々に、この事実を伝えて下さいね。原宿表参道をノーテンキに買い物して歩く若い人々にも。
改めて、ご冥福をお祈りいたします。