「すきやばし次郎」で感動する

久しぶりに「すきやばし次郎」でお昼を頂いた。最近はNHKで取り上げられることが多く、ますます予約が難しくなっているらしい。
12人でカウンターを独占し、お任せで1時間。何もかもが、そのタイミングに一番美味しく出てくるように早朝から下ごしらえされている。最高の贅沢。 このくらいの年齢になると、食べることで感動することは、そうはないと考えていた。その思い込みを見事に覆したのが、小野次郎さんだ。364日粗食に耐えてでも、健康な限り、年に1度は、ここに来て、日本人に生まれた幸せをかみ締めたい。
口に入れた途端、魚の風味が口の中で広がる。下ごしらえに十分な手間隙がかけられているのと、少しきついくらいの酢飯が、それを可能にしているのだ。今月は貝類が充実していた。特に「とりがい」に驚いた。実は私は貝を美味しいと思ったことがない。だから、普段はカウンターにすわると、ほかのネタばかりを注文する。そんな私が「とりがい」に感動するのから、いかばかりかご想像いただきたい。
鮑には未だ早かったのが残念だったが、これがまた、最高なのだ。それまで口にしたものは何だったかと、昨年頂いた折には、ただ唸るばかりだった。こはだも、あじも。ああ、舌鼓どころではない。おおとろも、あなごも、うにも舌の上でとろけるようだ。なんという幸せ・・・。舌鼓どころではない。
今回の内容は、益弘さんの解説とともに、『美味サライ』に掲載されるらしいので、ぜひご高覧を。 私の隣に座っていた関係者によれば、同じ号の取材でロブションにインタビューしたところ、ひたすら次郎さんを絶賛していたという。あのロブションでさえ次郎さんの腕に唸ったのだから、私はただただうーんうーん、の連続である。
息子さんいわく「今回は津波の影響で大変でした」
そうなのだ。この地球変動の折、魚がコンスタントに入ってくるとは限らない。私も元気、地球も元気なうちに味わっておかないと。
またまた、日本人に生まれて良かったと感じた瞬間でした。小野次郎さん、ありがとう。