911を前に

まもなく9月11日。アメリカ人の心の中には各々いろいろな思いが去来する。

 その日に、フロリダの牧師がコーランを焼くと言い出した。なんということだ。これでは、世界中のムスリム(イスラーム教徒)が黙っていない。ラマダン(断食月)が明けると、どうなるのだろう。

 この挑発が新たな戦争への導火線にならねばいいと思うのだが、ジョーンズ牧師の背後に、それを望んでいるグループがいたりしたら、事態は厄介である。

 NYグラウンド・ゼロの近くにモスクを建設する話も、オバマ大統領の立場を危うくしている。ここぞとばかりに、共和党の元副大統領候補サラ・ペイリンが突っ込みを入れた。これが全米で問題となり、ガスは充満しているのだ。

 本来、イスラームはどの宗教に対しても寛大である。一部のテロリストと区別して考えなければならない。ハンティントン氏が『文明の衝突』などと書いたからといって、それを普遍化して戦争に突入することがあってはいけない。それは、ある種の挑発なのだ。

少なくとも911までは、アメリカのテレビはこの件を中心に報じるに違いない。今年、中間選挙であることが、アメリカ社会を複雑にしている。