新政権に目配せを

日本の総理交代などアメリカではさしたるニュースにもならないのだが、帰国してみれば、菅政権に対する日本のメディアの持ち上げようが異常に思える。世論調査でやたら支持率が高いというのも、あまり納得がいかないことである。小沢氏排除が好感されているというが、それも出来レースに見えてしまうのだ。

目先の生活にばかり追われて、日本という国のありようが知らないうちに変わっていた、ということがないように、日本国民の一人として、新政権をしっかり観察しなければと思う。

戦後の占領以来、日本人はアメリカの背中を見て成長してきた。だから兄貴分としてアメリカに押さえられることには慣れているし、我慢もできた。しかし、急激に発展を遂げた隣国の傘下に収まることに、はたして日本国民はどれほど耐えられるのだろうか。

普天間問題を通して反米感情を煽り立てられ、ふと気づいたら、別の大国に支配されないよう、日本のありようを考えるべき時だ。これまで沖縄の首長たちが日本政府を手玉にとってきた交渉術は実に見事で、琉球王国以来、彼らが持っているしたたかさ=小国ながら大国に飲まれない知恵を、いまこそ私たち日本人は学ぶべきではないだろうか。

そうした知恵が日本の政治家にあるかどうか疑わしい。マスメディアに翻弄されることなく、国民一人一人が洞察力を身につけ、政権を注視していくしかないのである。