独裁者が次々に倒れた今年。総決算のように、金正日総書記の「死」が報じられた。ルーマニアのチャウシェスクやリビアのカダフィのように、メディアの前で誰も死を目撃していない以上、この死の真相は定かではない。それはオサマ・ビン・ラディンにもあてはまる。
しかし、公式発表によるトップの交替によって、北朝鮮という国家が変わることは間違いない。資源国である北朝鮮を国際社会がほうっておかないからだ。北朝鮮もそうした国々とたくみに駆け引きをしながら、経済発展をするために緩やかに民主化を進めていくだろう。民営化ビジネスは、欧米にとっておいしいビジネスだ。日本の郵政が狙われたのと同じである。そして、これまでスイスが担ったような金融のハブとしての役割を担うことも考えられる。
その北朝鮮とどう付き合っていくのか。日本政府はしたたかに戦略を持たねばなるまい。開かれた国家になって調査ができれば拉致された人々とご家族が会うことも可能だ。敵対するよりも、国交回復に向けて、動きだすときだと考える。