いまウクライナで起きていることを見て、皆さん色々な思いを抱いておられると推察します。犠牲になるのはいつも一般市民。戦争を憎む気持ちは大切です。
私が『ワシントンハイツ』を上梓したのは、人々の命を奪う戦争がいかに馬鹿げていて虚しいか、そして回避するためには大国の思考回路を知ることが必要だと考えたからです。「平和ボケ」の日本で蔓延している「ありえないという思考停止」はものすごく危険です。これまので日常が未来永劫続くとは限らないのです(コロナ禍でそれを感じた人もいるとは思いますが)。
1945年のいまごろ、本土に残る先輩たちは空襲に怯えて暮らしていました。それまでのピンポント爆撃から夜間無差別爆撃に作戦が変えられ、(米軍的に)大成功をおさめたのが、3月10日の東京大空襲だったのです。ワシントンDCで、当時の司令官カーティス・ルメイのファイルの中に、「東京を火の海にした後、米軍基地で大宴会を開いた」という秘書の記述をみつけた時、まだオボコかった私は、頭がクラクラして吐きそうになりました。
いまこそ『ワシントンハイツ』第1章と第3章を読んでほしいのです。手元にある方には再読をオススメします。渋谷原宿を襲った5月25日山の手空襲の恐怖を語る生の声と、空軍独立のために成果主義に走り日本空襲に邁進した軍人の執念を知ってほしいのです。世界は再び戦争モードに入りました。他人事ではありません。
とはいえ、今回の侵攻については、プーチン一人を悪党にする解釈も危険です。SNSの映像や大メディアの報道に振り回されず、自分の頭で冷静に考えましょう。