このところつらつら考えていたことがあります。社内結婚がゆえに退職を余儀なくされて専業主婦をしていた時代(つまりキャスターデビュー前)、私は東京芸大の楽理を受験して、音楽家の評伝作家を目指してもよかったのではないか、と。
そんな折、ショパンコンクール2位に日本男子が入選したとの朗報が。ますます音楽の道を閉ざした自分が悔やまれていたところ、実は昨日、内田光子さんが、京都コンサートホールでリサイタルを開いたと知人のFBで知ったのです。私は東京にいたので、直前に知っても無理ではありましたが。
内田光子さんは、話題のショパンコンクール2位、ベートヴェンコンクール1位、の凄いピアニストです。私は中学時代、音大付属受験を目指してピアノに励んでいました(受験直前に向いていないと自主断念、普通高を受験)。月に一度見てもらっていた大先生が、厳しくて有名な桐朋学園の松岡貞子教授。幼き日の内田光子さんを教えた方でした。なにかについて「光子ちゃんはね」と口になさる。社宅ぐらしでアップライトのピアノしかもたない私に、なんと酷なことか。ほぼ毎回、私の演奏を聴きながら首を横に振ってNGオーラ全開、褒められたことは一度だけ。でも、先生のおかげで、若いころから内田光子さんの東京での演奏会へは必ず伺っていました。孫弟子たちにも、指の見える席が確保されていたので。ビデオのない時代、技術重視の当時の日本の音楽界では指の運び、とても大切だったのです。