この場に及んでもまだ、原発推進という人が多くて、びっくりする。
震災以降、恐怖心でいっぱいになったのは、これが地球から人類へのメッセージだと私が考えているからだ。だとすれば、これを機に日本が最初に太陽エネルギーにシフトすべきである。そうでなければ、津波にさらわれた人々の無念をはらすことにならない。
東北の復興は、新しいエネルギーの発信以外に考えられない。原発はこれ以上増やさず、自然エネルギーを使った街づくりを考えるべきである。なかでも私が関心を抱いているのは、バイオマスだ。津波被害にあった地域は、東北でも日照時間が長く、海藻が豊富に獲れる。その海藻を使ってオイルを作るのである。
海藻に太陽を当てると、ものすごい勢いで増える。いわゆる光合成である。そこに悪者と言われている二酸化酸素CO2をどんどん送り込むと、結果、オイルを精製できる。そもそも石油は、それが化石になったものだと考えれば、わかりやすい。
原発一基分を補うのに、バイオマスがどれほど必要かまだ掴んでいないが、少なくとも政府は即、バイオマスに舵を切り、原発に替わるエネルギーを国策として開発すべきである。
日本人のすばらしさは、鎮守の森にある。自然を畏れ、感謝を知っていることに集約される。戦後65年、世界潮流に乗り遅れまいとひた走ってきたが、被災したいまこそ日本が新しい社会のありようを提示して、世界をリードすべきなのである。金儲けの亡者は別として、心ある人々は、被災した日本がどう立ち居振舞うのか注目しているのだ。日本人の美徳とは、自然に対して謙虚になることであり、自然に感謝することであると私は考えている。