子どものためには厳しい基準で

最近考えるのだが、科学者も占い師も宗教家も、つまるところ似ているのではないだろうか。いずれの説にも絶対はない。誰の説を信じるかは自己責任である。 

原発事故以降、放射能について、色々な科学者の意見を聞いてきた。安全なのか危険なのか。人によって考えは違う。チェルノブイリ以外、何ひとつ実証できるデータはないのである。 

だから、政府の判断も絶対ではない。どの科学者の説を選ぶかで違ってくるからだ。内閣参謀参与でありながら、自分の説が採用されず、先日、辞任した小佐古敏荘東京大学教授の行動は納得がいく。文科省は校庭利用の放射線被曝限度を年間20ミリ・シーベルトとし、教授の4倍もあまく設定しているからだ。将来、子どもたちが発ガンしたときに、誰が責任をとるのか。科学者の良心として、辞任という形で政府に抗議したことを重く受け止めたい。

私たち大人が放射能対策をどうするかなどは自己責任でいい。しかし、未来ある子どものためには、厳しいデータを採用して、最悪事態を避ける策が優先されるべきである。次世代を育てることこそが時の政権の役割というものだ。