「サンデーフロントライン」で復興策を提言したが、時間が限られ、コメントは短くというのが原則なので、ブログで補いたい。
「緑の堤防」構想は、世界で4万本の植樹を指導してきた横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生が提唱されている。宮脇氏は鎮守の森の価値を説かれている生態学の専門家だ。政府はぜひ、宮脇先生と組んで、これを実行に移して欲しいと私は考えている。国民の多くが賛同し、政府を動かせることが理想だ。
今回の震災で私たちは津波の本当の恐ろしさを知った。コンクリートの堤防だと跳ね返され、かえって、その威力は倍増するのだ。しかし、「緑の堤防(=森)」を築けば、津波が木々の間を抜けるために威力は半減する。その間に人々は逃げる時間が稼げるし、水が引くときにも森に引っかかって、海にもっていかれない。今回、松が流されたのは、松は根が横に広がり、浅いからである。しかし、タブノキなら、砂地でも根がまっすぐに深く伸びるので波に負けない。三陸海岸に合った木を植えればいい。
なぜ政府か、といえば、これを「国民植樹プロジェクト」にする必要があるからだ。私自身は宮脇先生の指導される植樹祭に参加して、感動したことがある。先生の指導の下、必死で目の前の苗を植えていくうちに、知らない人たちとも不思議な連帯感が生まれ、涙が出るほど心を揺さぶられる。日本人がひとつになる好機になる。
なにより、植樹を通して被災した人々の心が癒される。木々が成長する過程を見て、自分も前に進もうと思える。子どもたちは、自分が苗を植えた森を誇りに思う。自信がつく。全国から集まった人々も、東北への愛着がわく。ずっと復興を応援しようと考える。
震災以来、東北は世界一有名な地域になった。植樹祭は間違いなく、世界中でニュースになる。美しい景観は将来、東北の観光資源になるのである。
息の長い復興のために、シンボルが必要だ。津波にも強い「緑の堤防」プロジェクトは、その役割を担うことができる。しかも、苗は数百円で済むのだから、コストが低いことも魅力のひとつだ。全国からの参加者が参加費を払えばいい。ただ義援金を送るよりも、ずっと付加価値が高くて達成感がある。財源など捻出せぬとも、国民を束ね、世界の注目を集め、政府の汚名挽回、支持率を上げる唯一のチャンスとなるはずである。
追伸:植樹祭について書いたコラムは→https://www.akiosatoko.com/wps/wp-content/uploads/2010/06/post05.jpg