ブラジルに女性大統領が誕生した。ジルマ・ルセフ新大統領、63歳である。
ルラ前大統領の全面的支持があっての当選だが、アルゼンチンといい、オーストラリアといい、南半球に女性の指導者が次々登場していることは興味深い。
ルラ前大統領は、自国の資源輸出で稼いだ分を貧困層にばら撒く形で底上げを図り、中間層拡大に成功している。90年代末、私の大学院同級生がブラジルの貧困やストリートチルドレンについて研究していたころには想像もつかない変わりようである。
新大統領は若いころに投獄された経験の持ち主。その意味でも日本の政治家よりも根性は座っているだろうが、3年後のワールドカップ、5年後に控えたオリンピックに向けて発展を遂げ、中国の後に続くことは間違いない。
余談だが、水晶の産地でもあるブラジルでは、米作りにクリスタルのサザレを使う農法が始まっているらしい。水田の水が浄化され、米が美味になるのだという。おそらく日系人の思いつきなのだろうが、農業でもブラジルの底力は侮れないといえよう。
新大統領は反日ともいわれるが、すでにブラジルの鶏肉を東京の店頭でよくみかけるこのごろである。