東京を見下ろすイブの夜

こんなタイトルをつけたら、いかにも私がヘリコプターで東京夜景遊覧をしたかのように聞こえるかもしれない。だが、私は単に見上げる立場にあり、しかし、偶然にもその存在に気づいただけのことである。

夕刻より地上にいれば、あまりにヘリの音が気になり、某ビルディングの中上階に降りれば、窓からヘリのライトが行き交うのが目立ったため、テレビ報道で知った遊覧ヘリのことを思い出したのである。

みんなお金があるんだねえ、と友人は呟いたが、その遊覧を楽しんだのは、若いカップルとは限らない。下心持ったオジサンが若い女性を誘ったのかもしれないし、あるいはウルトラリッチな中国人だったかもしれない。もしも、リタイア組の日本人夫婦だったりしたら、美しい物語になるのだが、そのケースはかなりめずらしいと思われる。

タクシーの運転手さんいわく、「東京に来る中国の人たちは極端ですよね。マナーがなっていない観光客もいれば、大金持ち風のビジネスマンもいる。有楽町のペニンシュラホテルにお泊りで、家族を浦安のディズニーランドで遊ばせて、自分は日中仕事を片付けて、家族を迎えに行くんです。タクシーで往復してくれるので、こちらは嬉しいですけどね」

たとえばCITIバンクで1千万円以上預けているゴールド会員枠には、やたらチャイニーズが増えているという。企業に属していて、東京に家族とともに転勤になっている人々だ。もちろん中国元より日本円が安全だから預金も投資もするのだろうが、その分、日本人より主張も激しく、手ごわい顧客であるらしい。

日ごろは公共交通機関を利用して歩くようにしている私だが、師走はタクシーによく乗った。地下鉄やバスでは、移動中に電話ができないからだ。その出費を考えると頭痛を起こしそうになるが、それでも、運転手さんから色々な話が聞けるので、実は倍の価値がある。