今朝はライス女史の公聴会。早起きしてシャワーを浴び、テレビの前にかじりついていると、日本から電話が入った。
「イラクで日本人が3人、人質にとられたらしい。
古館の報道ステーションでやっているよ、いま」
―――そうか。久米さんのNステは終わったんだっけ。
「こんな時にイラクに行くなよな。カメラマンとか言ってるけど、
聞いたこと無い名前だし、こんな状態の国に一人でNGOやるなんて
こうなるくらいは予測できるだろうに」
―――第一報から、こんなに厳しいんだ。
友人はメディアの中で仕事をしている。戦場カメラマンといえば、ある程度のキャリアのある人なら、その筋で存在が知られているものだ。だから、今回のカメラマンは未経験のまま戦場に飛び込んだと彼は判断したのだと思う。
そんな反応が気になって、夜中にネット検索をしてみた。2ちゃんねるなどでは厳しい書き込みがあった。とりわけ一番若い青年に対して、知り合いが書き込んだものと思われるものが、かなり厳しい論調だった。彼は日本に居場所がなくて放浪の末、イラクに出向いたのだとするものだった。
日本に居場所がなくて海外を放浪することを、私は悪いとは思わない。むしろ日本の若者は積極的に外に出て、自分の国を相対化すべきだというのが私の持論だ。しかし、戦時下のイラクの一人で出かけるのは、それなりの準備がいるだろう。情報収集とシミュレーションだ。こういう事態になることを想定して、その場合はどうしたらいいかを日本の誰かに申し送りしておく必要がある。プロと名乗る以上、そしてフリーランサーである以上、そのくらいの覚悟と準備は必要だ。
日本社会は、組織に属してなく、素性がはっきりしていない人に対しては風当たりが強い。組織人の保証人なしにはアパートひとつ借りられないのである。今回の3人も、普通に生活していて拉致された人とは違い、個人で勝手にでかけたのだから、と判断されがちだ。だからこそ、フリーの人間は、組織人の何十倍もの根回しが求められる。若い彼らには、それがわかっていたのだろうか。
邦人を守る義務がある外務省は、あの手この手で救出を試みるだろう。小泉総理は確信犯で自衛隊を送ったのだから、簡単に引き上げるわけが無い。私の勘ではタジキスタンの時と同じように、法外な金額を払い、救出するのではないかと思う。ネットの空気から判断するに、世論が彼らになびくとは思えない。敵は自衛隊撤退を要求しているらしいが、世論がそちらに傾かない以上、小泉政権は安泰とみた。
では、彼らの命は保障されるのか。これについてもかなりの確率で大丈夫だろう。イスラームの考えでは、人質も客人として扱うはずである。柳田大元氏がアフガニスタンで拘束されたときもTBS「いちばん!エクスプレス」でそうコメントした。3人が思い切り抵抗しない限り、危害は加えられないはずだ。こういうご時世でもイラクに行きたいと思う3人は、ムスリムへのシンバシーを無意識に伝えると思うからだ。大義なき戦争でイラクに行かされ、イラク人に対して愛情を持たない米軍兵士とは発している空気が全く違い、そこは日本人のいいところだと考えている。