NHK 「おひさま」

家にいるときは、毎朝NHKの「おひさま」を観ている。日本の昭和史を、戦争へと突入していく日本の様子を、こんなに自然に伝えられるドラマっていいなあと思う。ノンフィクションには出来ない技だ。羨ましくもある。 

主人公が教師をすることによって、戦中戦後、学校で起きることを描くことが可能だ。彼女がたった1日の結婚生活で夫を戦地に送り出す設定、一番上の兄が軍医に、二番目が海軍航空隊に配属され、父が名古屋の飛行機工場で働くことになり、女学校時代の友人が東京に出て行くというのも、特攻隊の存在、名古屋の空襲、東京大空襲と、若者に昭和史を学習させるお膳立てが実によくできている。

 なにより主人公を演じる井上真央さんが可愛くていい。辛口の私が思わず絶賛してしまう若手女優の一人だ。TBSの「花より男子」以来、注目している。自然な明るさを演じられるのは、井上真央さんか、少し前なら「篤姫」の宮崎葵さんだろう。そういえば、彼女も同じ枠で昭和史を描いたドラマに主演していた。

若尾文子さんが若い頃を回想するという設定なのだが、この手法は、「おしん」も同じだった。自分が現代史への理解が深まってから再放送で観ると、辛抱の連続を通して貧困から這い上がる視点で、昭和が見事に描かれていたと感心したものだ。さすが橋田先生である。

他方、「おひさま」はタイトルが示すように、主人公の明るさがゆえに、ほのぼの感がある。泣いてしまうシーンでも、どこか救いがあるのだ。主人公の家族が貧困層でないところが大きいのかもしれない。当時の女学生や子どもたちの純朴さを垣間見られるのも、視聴者をほっとさせてくれる重要なポイントである。