北海道と九州が「中国人観光客をノービザで入れる」計画があるのだという。
気は確かなのか――。
数日前の朝、ワイドショーでこれを聞いたときには、わが耳を疑った。誰がそんな愚かなことを考えたというのだろう。九州や北海道の人々の安全は考慮されているのか。いや、これは日本全国の治安問題である。
しかも、中国の運転免許証で自由にドライブできるのだという。日本の交通ルールを知らない中国人が運転して交通事故が起きたとき、誰が責任をとるというのだろう。これには、さすがに「大丈夫?」と森永卓郎さんがつぶやいたが、スタジオでは誰ひとり異論を声高に発言せずに、次の話題へと移った。
ビザを取得できる中国人だから、日本に来て買い物をしてくれるのだ。ビザなしということは、貧しい人(=お金を落としてくれない人)も、略奪する人も、不法滞在者も犯罪者も含まれる。一度入国したら、九州北海道だけでは終わらない。日本全国に移り住み、窃盗が多発し、善良な日本市民が犠牲になる。麻薬だって、いくらでも持ち込める。
これは、政府が来年創設を目指している「総合特区制度」を受けた流れで、九州観光推進機構は「九州アジア観光戦略特区」を、北海道観光振興機構は外国人の就労規制を緩和する「北海道観光インバウンド特区」を申請しているのだという。
九州については「九州内の離島やハウステンボスなど特定地域に限定して」というが、そのまま離島に住みついた場合、どうなるのだろう。数少ない島の人々が、言葉も通じない中国人がいきなり大挙して住み着いたとき、どうやって共生できるというのだ。
他方、北海道観光振興機構も、ホテル従業員として働きやすいよう外国人の就労規制を緩和するというのだ。これでは、北海道が中国化するのは時間の問題である。既に、北海道の土地不動産は中国人に買われている。中国人がホテルを建設しても、雇われるのは日本人ではなく、本土から呼び寄せた中国人だ。
中国人のノービザ入国問題は、親中総理の福田政権でも浮上していた。放っておけば、現政権下では通ってしまいそうだ。このまま見過ごしてもいいのだろうか。
少なくとも、九州と北海道で暮らす市民の了解を得ることが先決であろう。それを受けいれるなら、犯罪対策など、あらゆる事態を想定をして、心の準備をしておく必要がある。想定の作業は、メディアの仕事である。
どうか目先の「地元の利益」という言葉に踊らされないでほしい。必要なら、ビザを持つ中国人を一人でも多く呼び込むよう知恵を絞ればいいではないか。