キャロライン・ケネディ大使が気になる存在なのは確かだが、彼女の動きをここまで日本のメディアが報じるとなれば、この人事はアメリカにとって正解だったといえよう。彼女を一目見ようと路上に集う日本人のコメントを聞いていると、占領期にマッカーサーを仰いだ日本人のまなざしと重なる。
ケネディ家が特別なのは、その血筋に秘密があると最近は考えを改めている。単にアイルランドだけというなら、ケネディにくわえ、レーガン、それにクリントンやオバマも入ってくる。4人もの大統領が直接でなくても、さかのぼるとアイルランドに行き着くというのも、気になる現象だ。中でも、ケネディ家は別格のような気がする。
一般に、アイルランド系移民は、アメリカ社会でも乱暴な印象をもたれている。第二次世界大戦前、日系人を攻撃したのはアイルランド系移民だった。もっとも、最初にいた移民が後から来た移民に嫉妬していじめるのは、アメリカの移民史のわかりやすい構図ではあるのだが。
海外のケネディ暗殺50年特番を見ていると、実に謎が多い。暗殺については、マフィアがからんでいるという説は有力だ。利権に手をつけたケネディ兄弟に対しての報復は十分に考えられる。その背後に、アメリカ社会や国際政治がからだんでいたとしても、である。実はウォール街の改革に手をつけようとしたからだ、という説はワシントンDCで耳打ちされた。いずれにしても、大統領といえどアンタッチャブルな世界が存在するということを、私たちは知っておくべきだろう。