みやこうせいさんが『カルパチアのミューズたち』という本を出され、出版記念会がルーマニア大使館で開かれた。ワシントンDCに行くつもりだったのだが、予定を変更したのだった。
先日の週間ブックレビューを見たと手紙を下さり、着物をほめていただき気を良くした私は、和服を着ていくことにした。大使館の桜を思うと夜桜の着物を纏いたい気持ちもあったのだが、地味に白の大島にした。みやさんが岩手出身だったことを思い出したからだ。
みやさんとの出会いを書くと長くなるのだが、1990年の選挙の折、ブカレストの友人宅が始まりである。その後、マラムレシュに誘われて一人夜行列車に乗ってホームステイした。彼らの素朴な生き方に心洗われる思いだった。
津波に飲み込まれた人々の無念に応えるには、私たちが生き方を180度変えて、日本を再生させるしかない。自然への畏怖や感謝の念を忘れた日本人が学ぶべきヒントは、実はこのマラムレシュにいっぱい詰まっているのだ。
みやさんの著作はどれもこれもすばらしいが、とりわけマラムレシュの写真とともに紡がれた文章がいい。少しでも自分の生き方に迷いのある人には、ぜひご高覧いただきたい。ヒントがいっぱい詰まっている。