80年代、母が花嫁道具の一環として誂えてくれた着物の中で、最も地味な付け下げです。
初めて袖を通したのは、母が逝去して数年後。お茶会や対談、観劇で着用して、おそらく今年が4回目。年老いても着られそうな色合いなのと、蒲公英や菖蒲が描かれ季節を選ぶこともあって、着る機会が少ないのです。加えて、合わせる帯が難しい。色を優先して桃色や青色を合わせてみましたが、着物に負けて失敗しています。今回、誉田屋製のこの帯を持ってきてみて、少し重厚感を出せた気がしますが、ベストマッチングかどうか微妙です。さりとて、龍村のキラキラした箔とかを持ってくると、立食パーティでは仰々しいですしね。
文化庁前長官の近藤誠一さんのアカデミア賞受賞を祝う会に招かれ、この着物を着ることにしました。近藤さんは和文化に精通されているので、洋服で伺うわけにはまいいりません。案の定、会場には和服姿がの男女がたっくさん。記念撮影に応じてくださったのは、発起人のおひとり、ノーベル賞に輝いた野依博士。
近藤さんに初めてお目にかかったのは、ワシントンDCでした。Public Dipilomacyについてのお考えが、ジョージタウン大学大学院フェローとして渡米していた私の胸に響き、帰国後、雑誌で「日本の真髄」の連載対談を始めたのです。
この日は東京でも京都でも雨。東京でお世話になっている美容師さんが、研修のためお休みだったので、京都から着物姿で新幹線に乗ることにしました。会場の学士会館は東京駅から遠くないこともあり・・・。だから、着付けも髪も自己流、普段着と同じです。
2016年5月 牡丹菖蒲文@祝宴
2016.05.12