2006年1月 シクラメン

昨年末に仕立て変えた母の大島です。緑の文様がめずらしい黒の大島ですが、これは昭和 40年頃までの技術なのだそうです。子どものころ、母がこの大島を着ていた姿を私がはっきりと覚えているくらいですから、遺品を整理した時点で、裾廻しは擦り切れ、胴裏のシミも目立ちました。どうせ裾廻しを新しくするのなら、目の覚めるようなエメラルドグリーンを、と捜し歩きましたが、既製の裾廻しは渋い色ばかり。昔バンコクで買ったタイシルクのハギレをあてようかと思ったり、アンティーク着物の一部を使えないかと探したり、ずいぶん時間をかけてはみたものの、これという色に出会えません。ため息をついていると、ある呉服屋さんが大日本印刷の色見本を出してきて、私の指定した色で試し染をしてくれたのです。思ったとおりの色が出たのでお願いしたところ、これが私のイメージそのもの。今年になって何度も着ていますが、行く先々で評判です。かなり満足。母のシクラメンの帯が一番しっくりきます。