秋尾 沙戸子著
2012年新潮社刊/定価1800円/ハードカバー/320頁
ISBN978-4-10-437003-0
戦後占領期、日本のジャズメンから「神様」と呼ばれた日系二世の物語。南里文雄、ジョージ川口、渡辺貞夫、北村英治、宮間利之など、彼から直接手ほどきを受けた人々は数知れない。 クラリネット、サックス、トランペット、ギター、ピアノを弾きこなし、作編曲の才能に恵まれた。戦後日本のジャズレコード第1号は、ジミー・アラキの作曲である。帰国後のジミーはジャズで生きることも、他の二世のように米軍で生きることも選ばなかった。ライオネル・ハンプトン楽団に在籍し、しかし欧州ツアー参加は断り、織田信長が愛した「幸若舞」研究で博士号を取得。ハワイ大学でアメリカ人に日本文学を教えながら、川端康成、井上靖、三島由紀夫とも交流し、「日本の持つ魔力」を生涯追究した。彼の生き様は、私たち日本人が宝の持ち腐れにしてきた「日本の価値」を浮き彫りにしてくれる。移民の国アメリカと日本の20世紀を、複眼的に再検証する一冊。
【書評などは下記のとおり】
★『波』8月号に片岡義男さんの書評が、★『新潮45』9月号と、★毎日新聞8月26日朝刊と、★しんぶん赤旗に著者インタビューが、★『ジャズ批評』9月号に岩浪洋三さんの書評が掲載されています。
♪朝日新聞8月12日朝刊に掲載された後藤正治さん評はコチラ↓ http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2012081200005.html
♪日経新聞8月15日夕刊に掲載された井上章一さんの評はコチラ↓ http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44975170U2A810C1NNK001/
♪東京新聞/中日新聞9月4日夕刊に寄稿した「自著を語る」はコチラ→ http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/jicho/
【目 次】
プロローグ
第1章 鉄柵の中の「日本人村」
第2章 ハリウッドへの道
第3章 米陸軍日本語学校
第4章 オキュパイド・ジャパン
第5章 ジャズと軍務と文学と
第6章 うずき始めた傷口
エピローグ
秋尾沙戸子著
2011年新潮社刊/定価705円
単行本の出版から2年。日本エッセイストクラブ賞に選ばれてから1年。ついに新潮文庫からもうひとつの『ワシントンハイツ』が誕生。
本文に加筆・修正しただけでなく、電力・原子力にまつわる日米関係が、少し長い「文庫版あとがき」に記されている。解説は片岡義男さん。
詳細は下記へ↓
秋尾 沙戸子著
2009年新潮社刊/定価1900円/ハードカバー/384頁
ISBN978-4-10-437002-3
第58回日本エッセイスト・クラブ賞
審査報告および受賞挨拶はコチラ>>
『ワシントンハイツ』書評および著者インタビューはコチラ>>
銀座と並んで欧米のブランド店が軒を連ねる東京の表参道。明治神宮の参 道であるあの通りに西欧のブティックがひしめいているのはなぜだろう。それは、神宮の第一鳥居のその先、現在のNHK、オリンピック競技場、それに代々木 公園のあるところに、「ワシントンハイツ」という米軍住宅があったことに端を発する。
空襲で家を失い、日本人が食べ物に飢えていた時代、フェンスの中にはぴかぴかの「リトルアメリ カ」があった。800世帯もの青い芝生と白い家々、劇場や教会や学校やグラウンドの存在は、そこに出入りするアメリカ車とあわさって、「豊かさとは何か」 を日本庶民に見せつけ、「アメリカ好き」にするように意図されていた――。
本書は「ワシントンハイツ」が造られた経緯・過程に始まり、東京オリンピックでその姿を消して いくまでの街の歴史を描きながら、アメリカの「日本占領」を日米双方の証言と文献から描いている。皇居前の第一生命ビルのGHQが日本の政治改革の拠点な ら、明治神宮の隣に存在した「ワシントンハイツ」は約20年、日本人のライフスタイルをアメリカ化する拠点として、強烈な磁力を放っていた。GHQは焦土 と化した日本をどうデザインし、我々の生活に何を埋め込んでいったのか。憲法に女性の権利が盛り込まれた経緯や日本のキリスト教化計画など、戦後世代の知 らない逸話を通して、現在の日本が見えてくる一冊。
- 目 次
- プロローグ
- 序 章 帝国アメリカの残像
- 第1章 青山表参道の地獄絵図
- 第2章 ある建築家の功罪と苦悩
- 第3章 「ミズーリ」の屈辱
- 第4章 乗っ取られた代々木原宿
- 第5章 オキュパイド・ジャパン
- 第6章 かくて女性たちの視線は
- 第7章 GHQデザインブランチ
- 第8章 まずは娯楽ありき
- 第9章 有閑マダムの退屈な日々
- 第10章 尋問か協力か
- 第11章 GHQのクリスマス
- 第12章 立ち上がる住民たち
- 第13章 諜報部員「ニセイ・リンギスト」
- 第14章 アイドル誕生
- 第15章 瓦解する「アメリカ帝国」
- 第16章 そして軍用ヘリは舞い降りる
- 終 章 視界から消えた「占領」
- あとがき
「クロワッサン」2009年8月10日号
「波」2009年8月号
「北日本新聞」平成21年8月30日朝刊
産経新聞 平成21年9月6日朝刊
毎日新聞 平成21年9月8日夕刊
週刊読書人 平成21年9月11日号
北海道新聞 平成21年9月13日朝刊
朝日新聞 平成21年10月4日朝刊
「SAPIO」2009年10月14日号
「週刊ポスト」2009年10月16日号
週刊現代 2009年12月売
Japanese Book News spring 2010
週刊朝日 2010年12月31日号
2011年11月 丸善丸の内店 松丸本舗にて 杏さんが推薦してくださいました
秋尾 沙戸子著
2000年新潮社刊/1700円/ハードカバー/352頁
ISBN4-10437001-0
第12回アジア・太平洋賞特別賞 選考委員評はコチラ>>
- 目 次
- プロローグ
- 第一章 運命の家族
- 第二章 スカルノは死せず
- 第三章 父と同じ道へ
- 第四章 流血の朝
- 第五章 スハルトの最後
- 第六章 そして歴史は塗り変わる
- エピローグ
- あとがき
(毎日新聞2000年11月8日より)
選考委員:松永信雄(アジア調査会会長・元駐米大使)
田中明彦(東京大教授)
渡辺利夫(拓殖大教授)
松本健一(評論家・麗澤大教授)
北村正任(毎日新聞社主筆)
信頼置ける入門書
『運命の長女:スカルノの娘メガワティの半生』
ノンフィクション作家 秋尾沙戸子氏
アジア金融危機によって最も顕著な影響を受けた国はインドネシアである。30年以上にわたるスハル ト体制が崩壊し、ワヒド大統領を中心とする政権が民主的手続きによって誕生した。東ティモールが分解し、アチェやその他の地域での分離主義運動は続き、経 済情勢も苦しい。東南アジアの大国インドネシアの将来はまだまだ厳しいと言わざるを得ない。
そして、そのインドネシアにこそ、東南アジアにおいて戦後日本が最も重視してきた国である。学問的 にいっても、日本におけるインドネシア研究の水準は世界的なものが多い。しかし、それにもかかわらず、インドネシアの社会がどうなっているのか、どんな歴 史をたどっているのかについて明確なイメージをもって語れる日本人は多くはない。
そんな日本人にとって、インドネシア初代大統領スカルノの長女であり、そして現ワヒド政権の副大統 領となったメガワティ・スカルノプトゥリの半生を描いた本書は格好のインドネシア入門書である。
アジア金融危機前後のインドネシアに自ら飛び込んで体感した経験をもとに、一般読者と同じ視線でイ ンドネシアを描いていく手法は大変わかりやすい。著者の行動力と文章力はきわめて印象的である。
しかも、さまざまなエピソードの合間に展開されるインドネシア事情の解説は、単に現場にいて感じた というような印象論ではなく、それなりに、これまでの日本や欧米のインドネシア研究をそしゃくしたものであり、信頼性が高い。スハルト体制崩壊にいたるド キュメンタリーとしても読み応えがある。
秋尾 沙戸子著
1993年サイマル出版会刊/1553円/ソフトカバー/246頁
ISBN4-377-20985-X
- 目 次
- 無力でない女たちがいた――まえがきにかえて
- 1 政治犯として闘った女――ルーマニア
- (秘密警察に幽閉されながら電波にのせた良心の叫び)
- 2 革命のシンボルといわれた女――チェコスロバキア
- (禁じられた抵抗の歌「マルタの祈り」が革命に広場に響く春)
- 3 祖国を喪失した女――東ドイツ
- (国際結婚、亡命の決意、そして壁崩壊の後に)
- 亡命前夜
- パンドラの箱が開く
- パレスチナの黒い瞳
- 国境を渡る風
- 4 クーデターの中の外相夫人――旧ソ連
- (父を処刑された心の傷、夫シェワルナゼに悪夢再び)
- 5 インターガール――旧ソ連
- (からだを資本に生きた女が祖国を見つめなおす時)